目、口の異常な乾き シェーグレン症候群
Mさんは50代の女性、最近、かわき目や口のかわきがきになっていました。冬になり冷たい北風にあたると痛くてとても目を開けていられません。目薬で目をうるおしてみましたが、それでも良くならないので眼科を受診し、『シェーグレン症候群』という難病があることを知りました。
涙には、目の表面の角膜をうるおし、乾燥を防ぎ、外界から目を守るという大切な役割があります。ところが、涙が少なくなりドライアイの症状がひどくなると、角膜の表面のキズにより目が痛くてたまらない-ということになります。
ドライアイの症状がある人の中には涙だけでなく、唾(だ)液が減って口がかわいたり(ドライマウス)、鼻粘膜や気管支も乾燥したりし、いろんな症状に困る方がおられます。これをシェーグレン症候群(表1)と呼び、日本には10~30万人の患者様がいると言われています。
シェーグレン症候群は涙腺や唾液腺に対する自己免疫疾患-自分の身体に対する免疫反応を起こす病気で、根本的な治療法はないのですが、ドライアイ症状に対し表2のようにいろいろな方法を組み合わせることで対処していきます。
中でも特に涙点プラグという方法はおすすめです。涙は目頭のところにある涙点という排出孔から鼻の奥に流れ出ていくのですが、ここにフタをして少ない涙を有効に使おう、という方法です。数分ですむ簡単な処置で、涙点プラグを涙点に入れることができますし、いつでも取り去ることもできますので、眼科で相談してみてください。
Mさんは眼科で、点眼方法を教えてもらい、さらに、ドライアイ用のメガネ、涙点プラグの処置をしてもらい、なんとかドライアイの症状ともお付き合いしていけるようになっています。
涙の減少と不快感【ドライアイ】
なんとなく眼がスッキリとしない方、なんとなく眼に不快感があるという方、ドライアイかもしれません。
眼の表面は常に涙でおおわれて乾燥しないようになっています。でもこの涙の量が減ったり、眼の表面をうまくおおえなくなったりすると、いろいろな症状がでてきます。下の表で自己診断をしてみてください。5つ以上当てはまるようなら要注意、ドライアイの可能性があります。
涙には①眼の表面(角膜)の乾燥を防ぐという役割以外に、②酸素・栄養の補給、③眼の表面の洗浄・殺菌、④よりよく見えるようにする、などの重要な役割があります。ドライアイできちんと涙が働いてくれないと、不快なだけではなく角膜の表面にキズができ思わぬトラブルを招きます。
では、ドライアイにはどのように対処すればよいのでしょうか?まずは身の周りの環境、眼が乾燥しないようにすることが大切です。例えばクーラーや暖房の風が直接目にあたらないようにする、部屋が乾燥しないように加湿する、まばたきをよくする、ドライアイ用メガネをする、など。次に人工涙液やヒアルロン酸の目薬があります。またその他に涙点プラグといって、涙をにげにくくするための工夫をすることもできます。
約30%の人がドライアイだと言われています。また加齢とともにその割合は増えていくとも言います。まずは眼科で涙の量のチェックを、そして対処法をご相談ください。